圧縮空気走行SLの視察報告

視察日  2015年6月17日
視察場所
群馬県利根郡川場村SLホテル内   D51561号
栃木県真岡市真岡駅前きゅうろく館内 49671号

参加団体 御殿場線を育てる会(御殿場)
     御殿場線元気づくり推進機構(御殿場、山北)
     NPO法人 情緒豊かな町づくり(山北町)
     SL保存会(山北町)

報告者 小菅良夫

1.報告内容
 やはり保存機関車は動いていると保存の価値が倍増する。これが第一の感想です。圧縮空気運行といえども走る時のシュシュという音、汽笛はそっくりであり往年のSLを知っている人も本物に近いと感じると思います。
 水蒸気や燃えている釜もないので熱さを感じられないのですが、これはやむをえません。
 圧縮空気で動かすにしても足回りの整備は現役時代なみの精度で維持整備する必要があるとのこと、言われてみれば当たり前ですが、圧縮空気ゆえに何となく軽く見ていましたの驚きでした。もちろん一回動かして後は壊れてもいいということなら話は別でしょうが。
 維持管理の費用として、整備する人や運転者の人件費を含めて年間2000万位、それぞれ川場村と真岡市が出しているようです。
 とりあえずは、前橋さんがいっていたように汽笛を鳴らすことですか。これですと操作的には簡単ですぐ実現可能だそうです。


2.情報
1)D51561号
 北海道滝川機関区で引退。長野県御代田で静態保存中であったものを川場村がJR東日本から無償譲渡を受けた。
 国鉄機関士で長野工場に勤務し早期退職した恒松氏が圧縮空気走行のための整備を行った。恒松氏は、真岡鉄道の9600型、若桜鉄道のSLなども動くように整備。
恒松氏の話
 静態保存しているSLは、動輪の軸受けが変形している。一か所に重みが常にかかるから。まずこれを真円に削る必要がある。
部品の摩耗を避けるため高級なオイルを常に金属の摩擦部分に供給する必要がある。
山北、御殿場いずれも整備すれば圧縮空気走行は可能である状態である。特に山北のものはよい。
圧縮空気走行では高圧空気を使用するので高圧容器の法令に抵触しないことが必要でそのためゲージ圧0.2メガパスカル以内で使用する。また容器の大きさは制動装置の空気ダメの大きさが40リットル以下である必要があるが、D51は38リットルであり問題ない。
ゲージ圧0.2メガパスカル以下の使用であるので25/1000勾配を上ることは不可能。
D52形式は日本のどこにも動いている状態のものなし。JRによる復活運転もされていない。これが動いたら評判になるであろう。9600形式の唯一の動態保存をしている真岡鉄道への来客数が50倍になった。



 D51機関車は、添付の写真のようにピカピカに光っていた。蒸気と同じ汽笛をならし、同じ音を出して走る。唯一異なるのはピストンシリンダーからの白い蒸気の噴出が見えないところぐらいである。見ていると飽きない。
 機関車の後ろに緩急車を一台引いていたが、こちらも時代物で当時の公式設備であった達磨ストーブがついていた。

 詳しくは下記ブログ参照してください。
 http://hotelsl.blog54.fc2.com/

2)49671号9600型471号
 函館機関区で引退。
 真岡駅前の駅前広場に走行線路を引いて50m位を走行する。運転は元国鉄水戸機関区の機関士だった人が行っている。駅前の駐車場になっている広場に路面電車風に線路が引いてあり、そこを行き来する。真岡鉄道は関東鉄道の鳥羽見駅からすぐの所の下館から出ている。これらと一緒にしたツアーは能率的です。

3.解説
 動かすまでに整備費のみでも1000万円以上。その後の維持費も、人件費を含まないで100万円以上と圧縮走行を実現するには大きな行政の財政的援助が必要。
 D51も9600型もいずれも川場村、真岡市の地域おこしと観光の目的の観点からの強い財政援助があり、現在も行われている。
 川場村の場合は収益全国一という広大な面積をもつ道の駅がすぐ近くにあり、郊外教育の一環としての小中学生も多く訪れおり、それなりの目的を達成していており維持への費用援助の続行が可能になっている。
 真岡市の場合も真岡鉄道の本線でのC12の動態保存が本線上で行われている。これらと一体になって観光の目的が達成されており、維持も可能になっている。
 D52も動けば評判になるであろうが、維持も考えると解決する問題点は多いことが予想できる。御殿場市は少し行政に近い人たちが動き出しているようです。機関車の状態は山北の方がいいとのこと。
 汽笛は、前述した恒松さん開発の装置をつければすぐに可能とのことらしいです。

以上

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